2017-09-15

Alex Moulton APB-8 / SRAM eTAP モディファイ Part.1

ご購入いただいてから14年経つAPB(TSRの先代モデル)の
レストア&カスタマイズ事例をご紹介します。

大まかな作業内容は、フレームの再塗装、
Shiamano Ultegra 10speedからSRAM電動変速「 eTAP」への組み替えです。
作業に向けてコンポーネントを取り外していきます。
今事例の一番の難関であり、最大の特徴といえる
SRAM eTAPの仮付けから取り掛かります。

最大の難関は、フロントディレイラー(F.ディレイラー)のバッテリー部分が
リアフォークにバッチリ干渉してしまう事なので、
今回はフレームに相当手を加えることになりそうです。

F.ディレイラーとリアフォークの干渉部分をどうやって解決したらいいのか、
イメージしやすいようにパイプを曲げてリアフォークに当ててみます。

一本のパイプだけではなく、曲げ違いのパイプをいくつも作ってみましたが、
曲げたパイプを付けるだけでは、どうにもなりそうにないので、
リアフォークの一部分を切断しました。

干渉部分のパイプを切断すると、
電動変速のF.ディレイラーが綺麗に収まります。

イメージしていた方法で、リアフォークの新設部品製作に取り掛かります。
まず、無垢棒の外径を旋盤で小さく削ります。

今度は、外径を小さくした無垢棒をフライス盤で平に削ります。

イメージしていた方法は、
旋盤とフライス盤で製作した無垢棒を、
切断した部分に差し込んでロウ付けする。

ただこの方法でもっとも注意しなければならないのは、
『サスペンションと連動しているリアフォークの動き』
この動きもイメージしなければいけません。

ただ、F.ディレイラーを干渉なく取り付けただけではダメなんですね。
なかなか手強いです。

まずはイメージした通りに進めていきます。
製作した無垢棒に
切断したリアフォークの一部を合わせてリアフォークに差し込み、
問題ないかを確認します。

問題なさそうなので、ロウ付けする準備を進めていましたが、
「ちょっと、待てよ!」と一時中断。

リアフォークピボット側(右画像)の取付け方法については、
上からパイプを乗せてロウを盛る方法で考えていましたが、
乗せるのではなく、少しでもいいからピボット内にパイプを入れ込んで
隙間にロウを流し込んだ方が確実に接合できる上に、ロウ付け箇所も少なくて済む。
ロウ付け箇所が少ないという事は、段差が無くなりパイプとして綺麗に見える。

ということで方針転換!

無垢棒を長めに製作し直しました。

次に無垢棒の両端をドリルで少し深めに穴を開けます。

こんな感じで穴を開けました。
なぜ穴を開けたかというと、

リアフォークにロウ付けする際、無垢棒だとなかなか熱が伝わらず、
リアフォークと無垢棒に温度差が生じて、
リアフォーク内部までロウが回りにくいと考えたからです。

左)最終案の一本ものの無垢棒。
右)はじめに製作した無垢棒を被せたヴァージョン。
塗装を剥がして、いよいよリアフォークの改造に入ります。
このように無垢棒をリアフォークピボットに入れ込みます。

ロウ付け準備完了!
いよいよロウを盛っていきます。
ロウ付け終了!
うん、イメージ通りです。

リアフォークの改造が済んだら、
再塗装の前にもう一度、F.ディレイラーとクランクセットを仮付けして、
干渉部分やサスペンションの動きを確認。

やっとこさ、F.ディレイラー廻りの改造は完成!と思ったのも束の間、
またまた「ちょっと、待てよ!」が発令。

ピボットからラバーコーンに走る二本のパイプには、あまり力が加わらないので、
強度的に問題はないと思ったのですが、
フライスで加工した平面の厚さがパイプを潰した以上に薄く、
視覚的にもどうも不安が残るので補強を入れる事に。

こんな感じでカイセイのチューブを曲げてロウ付けし、補強しました。

Part.2につづく>>>